代表取締役社長 伊藤 義章
当社は、1972年に総合原子燃料メーカーとしてスタートしました。日本で唯一、沸騰水型原子炉(BWR)と加圧水型原子炉(PWR)の両タイプの燃料製造メーカーとして、40年以上にわたり無事故で高品質な燃料を供給してきた会社です。また、原子力発電所の安定的な運転に必要な機器の供給とメンテナンスサービスを主とするエンジニアリング事業も展開しています。
東日本大震災以降、日本の原子力発電を取り巻く状況は大きく変化しました。しかし、日本はエネルギー資源が乏しい国です。温暖化問題等、環境問題への取り組みが緊急かつ重要となっていることを踏まえると、温室効果ガスの抑制の観点からも化石燃料には頼れません。この豊かな日本を維持していくためには、多様なエネルギー源をオプションとして維持し、最適に組み合わせて使っていく、柔軟なエネルギー戦略が必要となると思います。
当社の強みは、燃料加工の事業に加え、エンジニアリング事業を事業の柱として持っていることです。例えば、再処理された使用済み燃料から取り出されるプルトニウムを利用して、これを原子燃料として再利用する「燃料サイクル」にも関与していますが、この仕事には燃料加工とエンジニアリングの両方の知識、技術が必要であり、当社の強みを生かした事業領域となっています。
もう一つの強みは、燃料の品質の高さです。原子炉内部の過酷な環境(高温・高圧・高流速・高放射線)においても、設計、製造に起因するトラブルは一度も起こしたことがありません。原子力には、非常に高い精度のモノづくりができる設備と人材、そして技術が必要ですが、当社にはこれらが揃っています。常に安心できる燃料を提供し続けることで、お客様から高い評価をいただいています。
当社は地域の皆様との関係を大切にしています。小さなこともオープンにお伝えし、何かトラブルがあった時にもいち早く情報共有する姿勢を持ち続けています。今後も安全な工場運営を基礎として、透明性のある事業活動を継続することを通じて、地域の皆様に安心していただき、信頼関係を裏切らないということが不可欠だと考えています。
2018年に原子力発電プラント全体を設計、供給する東芝エネルギーシステムズ社のグループ会社になりました。私たちの有する燃料・エンジニアリングの技術と組み合わせることで、より総合的で幅の広い事業をグループとして展開できると考えています。今後、両社の強みを活かしながら、 エンジニアリングの技術を持つ燃料メーカーとして、より優れた原子力エネルギーの開発に携わり、日本の原子力を発展させることが当社の夢であり、目標です。