全社の取り組み

全社の取り組み

1.臨界安全管理

ウランは中性子があたると核分裂反応を起こし、その時に2~3個の中性子を放出します。
原子力発電所では、この放出された中性子が別のウランにあたることで発生する核分裂反応を連鎖的に起こし、それを一定の割合で持続(臨界)させたときに発生するエネルギーを活用しています。
この連鎖的核分裂反応をコントロールできない状態になると臨界事故につながります。

当社では、この臨界をおこさないため、核燃料物質(ウラン)の取り扱いに際して、種々の制限を設定し遵守するとともに、定期的に操作員の教育を行い、臨界安全管理の周知徹底を図っています。

臨界をおこさないための制限値の例

1.質量制限
粉末混合工程等で、取り扱い量の2倍以上となっても臨界にならないように制限しています。

2.寸法制限(直径制限、厚さ制限)
成型工程や焼結工程等で、臨界量の核燃料物質(ウラン)が蓄積しないように制限しています。

3.本数、体数制限
燃料棒検査工程や集合体組み立て工程等では、核燃料物質(ウラン)の入った燃料棒や燃料棒を束ねた燃料集合体が、多数集まらないように体数(本数)と各々の間隔を制限しています。

臨界をおこさないための制限値の例

2.放射線管理

放射線はエックス線レントゲン撮影など医療で使用されるような人工的なものと、宇宙・大地・食物などの自然界から出ている放射線があり、普段の生活においても放射線を受けています。
しかし、一度に多量の放射線を受けた場合にはガンのリスクが高まるなど人体に影響があることがわかっています。

当社が取り扱うウランも微量ではありますが放射線を出す放射性物質であるため、作業者は安全保護具の着用や作業者の受けた放射線(被ばく)量の測定ほか、放射線安全に関する教育などを行っています。

放射性物質の取り扱い作業では、被ばく低減のため決められた作業衣や安全保護具を着用するとともに、ガラス線量計を着用し被ばく線量を監視しています。

放射性物質の取り扱い作業では、被ばく低減のため決められた作業衣や安全保護具を着用するとともに、ガラス線量計を着用し被ばく線量を監視しています。

管理区域から退出する際には、必ず測定機器で放射線量を測定し、安全であることを確認しています。

管理区域から退出する際には、必ず測定機器で放射線量を測定し、安全であることを確認しています。

3.環境モニタリング

モニタリング機器の例

モニタリング機器の例

周辺地域の安全のため、事業所内に周辺地域境界の放射線量を測定するモニタリングポストを設置しています。

測定した線量当量率が異常に高くなれば、警報を出します。

注) 降雨時には自然界の放射性物質(ラドンなど)が地表に集まり、一時的に測定値が上昇することがあります。

4.排気管理

事業所から環境への排気は、常に放射能濃度を監視しています。測定した放射能濃度が異常に高くなれば、警報を出します。

5.排水管理

事業所からの排水は、その都度放射能濃度及び排水量を測定し、異常のないことを確認してから排出しています。

6.固体廃棄物管理

放射性固体廃棄物は、生活環境に影響しないように保管しています。なお、保管にあたっては、効率的に収容するため、焼却等の処理を行ったうえでドラム缶へ収容します。

固体廃棄物管理

7.訓練の実施

万一の火災や地震、原子力事故等に備え、各種教育訓練について年度計画を定めて定期的に実施することで、防災機能の一層の向上に努めています。

訓練の例

〇総合防災訓練 〇初期消火活動訓練 〇防災組織係単位訓練
〇夜間・休日非常時訓練 〇高圧ガス緊急時対策訓練 〇放射線異常時対策訓練

訓練の実施1
訓練の実施2

8.労働安全衛生に対する取り組み

従業員等の作業環境の継続的改善のため、リスクアセスメント(作業活動のリスク評価と継続的改善)、ヒヤリハット活動(作業中に経験したヒヤリとしたりハットしたことを記録し、その原因を全員で究明し再び事故の要因とならないようにする安全衛生活動)、危険予知トレーニング等を実施しています。

9.原子力事業者と協力した安全に対する取り組み

1.原子力安全推進協会

原子力の一層の安全確保をめざして、1999年12月に原子力事業者が、安全文化の共有、向上を図るためにNSネットワークが設立されました(2005年4月 日本原子力技術協会に業務移行、2012年11月 原子力安全推進協会に改組)。同協会では、安全文化の普及活動(セミナー等)や、会員が相互に原子力安全に関する取組を評価するピア・レビューを行っています。当社も、直近では2012年7月に熊取事業所、2019年7月に東海事業所が同協会によるピア・レビューを受け、安全が確認されています。

2.世界核燃料安全ネットワーク(INSAF)

世界の核燃料サイクル産業(燃料加工、燃料加工関連研究機関)にとって安全性が共通の最重要課題であることを認識し、良好事例、安全文化を共有するとともに、さらに育成するために、2000年4月に設立され、安全情報の交換を行っています。